抽象画の描き方【下地作り編】

ではいざ抽象画を描いてみましょう!

と言われても、何を描いていいのかわからない時もあります。
むしろ目の前に「描くもの」があった方が、何を描けばいいのか悩まずに済むもんです。

抽象画といっても、もちろん色々なジャンルや方法がありまして、例えばその「見えてるモノ」を抽象的に描くこともできます。

しかし今回はあえて、『何も見えていない』状態から作りあげるヒントをご紹介します。


まずは支持体となるものを用意

私はベニヤのパネルをよく使います。
ホームセンターで手軽に手に入りますし、画材屋さんでしたら、ちゃんと木枠で組んであるものも売っています。しかしちとお値段が張りますが。。。
(自作する方法もありますよ!)

ベニヤを使用する場合は、反りがないものを選んでください。
そしてあまり薄いものは真っ二つに折れて割れてしまうこともあります。
ラワンよりシナベニヤの方が面もスムースで荒れていませんが、ラワンより高価です。

もちろんキャンバスにやってもいいです!
なんだったらダンボールでも、「とりあえずやってみよう」なら問題ありません!
ダンボールに切り貼りすると、年数が経って剥がれてきたり黄ばんできますので、その辺はご了承ください。

しかし「きがる〜♪」にやる始めるならこれ以上手軽な支持体はありません(^^)


手始めに、家にあるものを貼り付けてみる

貼っつけられそうなモノならなんでもOKです。
比較的手を出しやすいのが、薄めの紙や、出っ張りの少ない軽めのもの。
貝殻なども貼れますが、接地面が少ないので少し難しいです。

  • 宛名を除いた封筒
  • アルミホイル
  • サランラップ
  • 捨てる予定の服
  • 紙袋
  • 使用済みのマスク…

などなど。

部屋の中を見渡しただけでも、おもちゃになりそうな素材が色々出てきます。
メモ紙や書き損じたスケッチブックを再利用するという方法もありますね。

(昔は雑誌の切り抜きをコラージュして貼ったりしていましたが、著作権の問題があるので、グレーゾーンですが今はやめています)


貼る素材が見つかったら、いよいよ支持体に貼ってみましょう!

ジェルメディウムや木工ボンドを使っていきます。

貼るだけなら木工ボンドで十分ですが、貼り終わったあと、その上に油絵の具を乗せていくとなったらジェルメディウムやマットジェルメディウムは必須です。

アクリル絵の具ならジェルメディウムの仕上げをしなくても描けますが、良くも悪くも筆が引っかかりますので、やはりジェルメディウムでフィニッシュすることをお勧めします。

私はよくこのワックスペーパーを切り貼りしています。
だいぶ昔にどこかの雑貨屋さんで見かけて、本来の「食品を包む」使い方をしないのであまり減ることなく今に至ります(^^;)
この在庫が切れたら、今度はコストコで売ってるクッキングシートにしようかと思っています。

あとはアルミホイルですね。
こちらはBBQ用の、少し厚めのものが使いやすいです。
こちらも、本来の使い方をしなければ長持ちします(笑)

あえて構成は考えず、カッコよくとかも考えない

さて、どんどんいきましょう♪
思いつくまま…というか、ちぎった勢いで好きな箇所から貼っていってます。

今回は本当に全く何も考えないでちぎり始めたので、大した意味もなく、端っこからペタペタと貼っていきました。
ベニヤにベージュ茶色のワックスシートなので、一見すると貼ってあるのかわかりません(^^;)

ちょっとパンチが足りないので、アルミホイルも投入します。しばらく無心で続けて、一息入れるタイミングで、少し画面から離れて全体像を見てみてください。

ここで色や形が浮かんできたらこっちのもの。

そこに焦点を当て、世界観を作っていくこともできますし、あえてそれを無視して突き進む…ってやり方もあります。

今回私は(この時点での)左下が気になったので、そこを空けるように作り込んでみました。
今度は古い手ぬぐいの登場です。

乾いたらボンドやジェルメディウムを追加して、心ゆくままに遊んでみましょう。

更に手ぬぐいの部分に砂も追加してました。
砂や小粒の石など、マチエールを作る素材も画材屋さんで売っています。
公園でも拾うこともできますが、思わぬところにアリンコやワンちゃんのう○こが潜んでいたりするので、一度出会ってからは自然採取はやめました( ̄▽ ̄;)


下地作り完成!

やめ時は自分で判断するしかありませんが、「よし!」と思った瞬間か、「お、この上に〇〇な色を乗せてみたい」など、『この後の作業が楽しみ』になった時に手を止めるようにしています。

そしてまた少し離れてみて、なんとなく天地を逆さまにしてみたり、どうしても気になったら追加で何かを貼ってみてください。

納得できたら、一旦その状態で丸一日乾かしましょう!

そして後日、仕上げのジェルメディウムか、アクリルのジェッソを塗って完成です。
透明度を失いたくなければジェルメディウム、質感だけ残して一面同じ色にしたければジェッソでも良いです。(また両方やってもOKです!)

ちなみにもし布がキャンバスの外にはみ出していたら、短めにカットしてちゃんとボンドで貼っておきましょう。
これをやらないと、5年ぐらい経ったあと、うっかりそこから剥離してきます(汗)


今回は『抽象画の書き方【下地作り編】』をお送りしました。
さらに、モデリングペーストを使ったマチエール作り編もあります!
こちらもぜひお楽しみ頂ければ幸いです。

 






それでも何も浮かばなかったら…

いっそのこと、下地の上から写経です。
もしくは詩やその時の気持ちなど、言葉や文章を書いてみましょう。
(しかし存命する好きなアーティストの歌詞はダメです。やはりこれも著作権に引っかかります。

著作権の有効期限は死後70年までとのことなので、金子みすゞさんの作品を書き写すのはOKです)
海外の哲学者の言葉を原文でレタリングしたり、カリグラフィーで飾ってみても良いかもしれません。

もしくは下地のマチエールを生かして、あえてそこで完成させるのもアリだと思います。
クライアントからの指示がある受注生産でもない限り、その画面の世界はあなただけのものです。
自分の気にいるように、納得のいくようにやってみてください。

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