
今回は、私が自分の作品をニューヨークのギャラリーで展示したお話をお届けします。
前回お届けした、社長の作品の展示が決まった頃、実は私は私で気になるギャラリーがありました。
そのギャラリーはマンハッタンの中心部にあるわけではありません。
だからこそなんでしょうが値段も安く、私的には「お♪」となったんですよね。
安い…っていうか、ダイレクトメールとポストカード作成代の150$だけでした(笑)
Contents
安さの理由はそれなりにある
・まず、立地。
チェルシーにある訳でも、人通りが多い訳でも、玄関が一階にある訳でもなく、普通の雑居ビルの上の方。
ただし入ると中はそれなりに広い。
(日本とアメリカの1番の違いですね)
・歴史無し、経験値少なめ。
ギャラリーとしては3年ぐらいしか歴史がなく、そのため顧客リストもたぶん薄っぺらい。
・オープニングパーティーと設営はやってくれるけど、アーティストへの支援はほぼ無し。
つまりステートメントだBIO(経歴書)だとかの、自分自身をよく見せる道具は自分で作らなきゃいけない。
(まあ、当たり前っちゃ当たり前なんですが)
しかし激安です(笑)
社長の「youもやっちゃいなよ」的な後押しもあり、ちゃっかりこの〈ニューヨークで展覧会〉の波に乗らせて頂きました。
しかしやはりネックになったのは輸送代
ギャラリーが提示してきた展覧会の会期が社長とほぼ同じ時期だったこともあり、一緒に作品送っちゃおうかと試みたんですが…
例によって高額な輸送費に、心がバッキバキに折れました。
しかしふと気づいたんですよね。
小さめの作品なら、手荷物にできる。
冬だし、航空券も最安値シーズン。(会期は1月〜2月)
ついでに本屋と画材屋に行ける!
で、作品抱えて直接搬入に踏み切りました♪
「社長の展覧会も見てきますよ〜♪ ギャラリーの雰囲気も気になりますよね?(だからお休みください!)」
の、華麗なる交渉術の結果、会社休んでニューヨークへ行ってきました!

まずはAgora Galleryへ
この時点でニューヨークには何度も行ったことがあったので、旅自体への不安はそれほどありませんでした。
どちらかと言うと、機内食が食べられないから、機内でどうやって時間を潰そうかということの方が不安…。
機内食の味が苦手だったんです。若さですねw
滞在するお宿はいつも通り、103丁目にあるユースホステル。
年々宿泊代が高騰してきて、ついにここも最後かな〜と思ったのがこの時でした。
(このユースホステルの思い出も盛りだくさんです)
さて、ニューヨーク着いたその日に、まずはさっそくAgora Galleryに訪れます。
まだ展覧会前の時期だったので、一応アポは取っていきました。
ギャラリーの人が丁寧に案内してくれて色々説明してくれたので、近くの郵便局から国際電話(もちろんコレクトコール)で社長に報告です。
もう一軒、同じくチェルシー地区で社長にメッセージをくれたギャラリーがあったので、こちらはあえてアポを取らずに様子を見にいったりしました。
以上、社員としての仕事は初日で終了です!

いよいよこちらの展示場へ! 〜からの「額ショック」事件
次は私の作品が展示される会場へ向かいます。
旅行中はドケチなので、タクシーとか夜にならないと乗りません。
Agora Galleryのあるチェルシー地区から、国連ビル近くまで……自分の作品3点持って、40分ぐらい歩きました(^^;)
着いた頃にはすっかり夕方。
しかもこの日に行くと言っていなかったですが、展示作業でバタバタしながら中を案内してくれました。
この案内してくれたお兄さんがギャラリーの責任者…だと思うんですが、喋り方と手足がクネクネしていて、話がぜんっぜん頭に入ってきません!
(オープニングに日にはいい色の口紅もしてましたー)
そしてそのおにおねえさんに自分の作品について聞くと、衝撃的な一言が。。。
「この額縁、邪魔だから外しとくわね」(雰囲気翻訳です)
……え?
わざわざ今回のためにお金出した額縁だよ?(汗)
外しちゃったの??(汗)
重たかったのに……。
この時、紙作品も一緒に持っていったんですが、そちらはお咎めなしでした(^^;)
油絵の方の作品が、額縁が似合ってないからダメだと。
しかし今から似合いのやつを作る時間もないし、「あなたお金持ってなさそうだから作れないでしょ?」と。
日本人としてあまり言われることはないだろうセリフも聞きました。
「他の作品を見てご覧なさい」
と、すすめられるまま辺りを見回します。

すぐに気がつきました。
額の高さが、作品とほぼ同じで、フラットに近いんです!
そうすることにより、作品を横から見ても作品がすぐに目に入るし、何より作品の邪魔にならないんです!
そしてそして、額はおおむね茶色や白の木か、黒のマット素材で、ガラスなんて入っていませんでした。
(ちなみに私が持ち込んだのは銀色の模様入りの額、with ガラス)
「パネルに描くなら、作品の横の部分もちゃんと描かないとダメ。キャンバスなら、ちゃんとその部分を覆う額にしなきゃ。そして高さもなきゃダメよ!」
色々言われました。
「絵は家やオフィスに飾るのよ。高さのない額や作品は格好悪いから飾りたくないでしょ」
あまりにもカルチャーショックで、今でもけっこう鮮明にお言葉を覚えてますね。
全く本当にその通りだと思いましたから。
恥ずかしかったオープニングセレモニー
次の日の夕方に再訪すると、早めに行ったにも関わらず、すでにオープニングセレモニーが始まっていて、エレベーターを降りた瞬間にワインを渡されました。
毎度のことながら年齢聞かれましたけど(^^;)
そこから10分ぐらいであっという間に会場は人でいっぱい!
こんな雑居ビルによくもこれだけ人がきたなー! という変な感想を覚えましたが、ギャラリーとしてちゃんと仕事してるんだ、とホッとしました。

自分の作品の辺りにいる人を捕まえて、作品を紹介する時間が始まります。
この頃にはもう、会話だけなら普通に英語は話せるようになっていたので、臆することなくどんどん話しかけました。
(「Where is here?」(笑)レベルから英語力がアップしたのは、アメリカの薄い本のおかげです♪)
もちろんネイティブではないので文法はメチャクチャだったりしますが、そもそもニューヨークには何十種も人種がいて、まともな英語が話せない人なんでごまんといますから。
安心して下手な英語が披露できるってもんです。
そうこうして作品を紹介しているうち、ふと気づきました。
自分の、油の方の作品、キャンバスの木枠自体が歪んでたんです(T▽T)
日本ではそんなことなかったので、飛行機の気圧でやられたか、ニューヨークのド乾燥した気候にやられたのか…。
原因は定かではありませんが、とにかく、額縁に入っていた時は気づかなかったですね。
それがこうして外して展示してみると……横側の、キャンバス生地が出っ放しも汚いし、歪んでるから壁に真っ直ぐ着かないし……。
踏んだり蹴ったりです。
こんなことならやっぱり額に入れておけばよかった〜! と思いましたが、見渡してみるとやっぱりギンギラギンの額なんてなく、そもそも照明がスポットだから反射して凄いことになりそうだし。
色々考えているうち、だんだんと恥ずかしくなってしまいました。
「絵描きは絵だけ描ければいい」と、心のどこかで思っていましたが、そうじゃないんですね。
『飾るものを作っている』という自覚は、この時に強烈に植えつけられた教訓です。

自分の<商品>を売るということ
オープニングセレモニーの最中に、何点もの他人の作品が売れていくのを目撃しました。
1,000ドル近い作品も売れていました。
それらに共通していたのは、<持って帰ったらすぐに飾れる状態>であったこと。
壁に釘打って、そこに引っ掛けたらすぐに部屋を彩れるように、そういった意味でも完成された作品だったんです。
レストランに行っても、料理は皿に乗った状態で提供されますよね?
ナイフもフォークもスプーンもついて。
シェフは料理を作る人ですが、使いこんだフライパンで直に料理はサーブしません。
自分の作った料理をより良く見せてくれる皿、テーブルクロス、そういったものもちゃんと選ばないといけないな、と。
カルチャーショックと、勉強会と反省会を、ごちゃ混ぜにしたような経験でした。
アメリカはそもそも日本より、絵を飾るということが日常的です。
歯医者にもホテルにも、個人の家にも学校にも、目に付く場所にはアート作品があります。
そんな、アートが身近にある環境だからこそ、商品として求められるレベルが高いように感じました。
今回は、ニューヨークのギャラリーで展示して感じたことをお届けしました。
この旅行の後半でOK Harrisギャラリーに飛び込み営業をかけて、おじいちゃんに「人の話を聞け!」と小言を喰らったストーリーはまた今度……^^;
日本食といえば「テリヤキ」味
旅行中はドケチと申しましたが、たまーに和食が食べたくなります。
祖母と一緒の時は豪勢に寿司とかやっちゃいましたが、ニューヨークで美味しい和食を食べようと思ったら、それはそれはお値段が張るんでございます。
ビンボー人はそんなところいけませんので、なんちゃってジャパニーズか、タイムズスクエアにあったラーメン屋か…。その辺が精一杯。
(かといってこのラーメンだって7ドルしましたが)
そんな旅行者を救ってくれたのが、マンハッタンモールの地下にあった、なんとかBowlってファストフード店。(Bowlは丼の意味ですねー。Beef Bowlで牛丼です)
5ドル以下で和食が食べられました。
和食。。。かな?^^;
チキンもビーフもベジボウルも、とにかくぜーんぶ「テリヤキ」味!
しかもこのテリヤキ、日本の照り焼きとはちょっと違いますよ。もっともーっと甘いです(笑)
ヨシダソースをご存知の方がいたら、それに砂糖を足した味だと思ってください^^;
けっこう人気のお店でしたが、あれを日本食だと思われていたら……複雑な心境です。
美味しいんですけどね。