
物持ちがいいと自負しております、Yaskoです。こんにちは。
消耗品の部類に入る筆も、20年選手がおります。
もちろん何本か、泣く泣くサヨナラした筆もありますが、手入れによっては長ーく付き合える消耗品もあるよ、ということですね。
今日はその『手入れ』のひとつ、『反りの直し方』をお届けします。
Contents
まずよく洗う。基本ですが大事。
普段は割とズボラなお手入れを標準装備しておりますが、それでも筆洗いは月に数回は行います。(もっとやれ?)
今回は更にレアなやつ。
反りの直しですが、その前にもやはり筆はよく洗います。
筆の反り直しには熱湯を使いますが、その際、絵の具が残っていると油膜の影響なのか、効き目が薄いように感じます。
そしてお湯もすぐ汚れますしね^^;
この「洗う」時ですが、固形石鹸を使うと良いです。
私が強くオススメするのは、元祖ウタマロ石鹸。
主婦業・母親業を経験の方はたぶんよーくご存知の、昔ながらの伝説の勇者です。
こちら、筆についた汚れだけでなく、子供の漏らした例のアレとか、子供がしでかした例のアレとかの汚れにも最強でございます。
ありきたりな言葉ですが、とにかくよく落ちます!

まず固形石鹸に軽く押し付けるようにして、何回かスライドさせます。
(写真は石鹸が小さくなってしまったら時のものですが、要領は同じです)
泡立ち始めたら、あとは手のひらの中で優しく揉み洗いしてあげてください。
この時、あまりガシガシやると筆の根元が傷みます。
毛先を扇状に広げたりして、出来るだけ絵の具の成分を取り除きましょう。

ちなみにこの筆洗いですが、油絵の具用の(豚毛など)動物性の筆だけでなく、水彩画やアクリル画で使うナイロン性の筆のでも洗い方は一緒です。
ただ油絵の具より落ちがいいだけですね。
むしろ注意しなきゃいけないのは、乾いたアクリル絵の具を流しに流すことです!
詰まります!
マジです!
アクリル絵の具を流す時は、できるだけアミやネットで防ぎましょう。
美術学校などでは、排水溝に金網が置いてあったりします^^;
そういった意味でも、使い捨てできるペーパーパレットは便利ですね♪

さて、よーく洗った後は、よーくゆすぎましょう。
特に豚毛は硬いので、根元の口金の辺りに石鹸が残ってしまうことがあります。
この後で反りを直す作業に入りますが、もしすぐにその作業をやらない場合は、水気を拭き取り、筆先を下にして乾かしてください。
逆さまにして乾かすのが一番ですが、できない場合は、横に並べて乾かしましょう。
反りを直す作業に移行する場合は、乾かさなくて大丈夫です。

筆の反りは熱湯でクセ直し
本題の筆の反りの直し方に入ります。
用意するものは簡単。
熱湯です。
熱湯を入れる器は、耐熱ならどんな物でもOKです。
が、ある程度深さのある器にすると、お湯がすぐ冷めないので良いと思われます。
欠けて捨てるだけ運命のマグカップや、テフロンが役目を終えてしまったミニグラタン容器などオススメです。
今回、重症患者と比較的軽症の患者を並べてみました。
…ちらほらヤバい奴がいますね。

筆の反りの直し方は、熱湯に漬けることである程度は直ります。
もちろん経年劣化したものは完全には直りませんが、私はたまにこうして反りを直しながら、長い事使い続けてきました。
この時、絶対に気をつけなくてはならないことがあります。
ゆっくりと、穂先(毛先)だけを熱湯に浸してください。
ナイロン筆の時はそれほど気にしなくても大丈夫ですが、
特に豚毛などの獣毛は、口金まで浸すとかえって筆を傷めてしまいます。
熱湯に穂先だけ浸して、ゆっくりゆらゆら揺らしてやる…ぐらいが丁度いい加減です。

時間的には1〜3分ぐらい。
長風呂はご遠慮ください。
仕上げにトリートメント(筆の話です)
残念ながら今回の熱湯風呂でも反りの直らなかった奴がいました。
彼らには、下書き時のコバルトブルー専門店への移動をしてもらいましょう。
小さい作品描くときの下書き用なら、多少毛先が反っていようが構いません♪

そして見事(少しでも)復活して生き残った猛者たちには、仕上げの工程を与えてやります。
トリートメントです。
ちなみに我が家はラックス・スーパーリ〜ッチ♪ です。
本当です。
人間様用のリンス、使います。
(筆洗いに石鹸ではなくシャンプーを使う方もいます)
私の持っている筆の中で、アライグマと馬毛の筆には特によく効きます。
筆のコシも戻るし、水彩画の時は、穂先の開きが均一になるのでボカシや滲みが綺麗にできるようになります。
熱湯風呂で失った油分を補ってあげるためにも、仕上げにはトリートメントで労ってあげてください。(でもよくゆすいでくださいね)
頑固な汚れにはストリッパー(筆の話です)
私にとってはレア中のレア、滅多に使わない、最終奥義です。
刃こぼれしたら嫌だから使わないアンジールのバスターソード的な…。
それが油絵具剥離剤、通称『ストリッパー』です。
正式名称ですよ。
その商品名でちゃんと画材屋さんに並んでいます^^;
筆の汚れだけでなく、パレットにも使えます。
固まってしまった部位にも使えます。
が、主成分がジクロロメタン(塩化メチレン)とメタノールなので、例によって無害ではありません。
手についたまま放っておくとよく荒れます。
そして結構なシンナー臭がするので、換気も大事です!
ストリッパーにはお手を触れず、用法・用量を守って正しくお使いください♪