
こんにちは! 「抽象画を描きたいんだけど、どうしたらいいかわからない」ということはありますか?
取っ掛かりはもちろん大事ですが、もう少し具体的にやり方を知りたい…
そんな疑問に、少し解決策をご提案させて頂きます♪
(取っ掛かりから知りたい方はこちらへ)
Contents
思い出の場所・風景を描きたい。でも写真がない!
子供の頃よく遊んだ公園。
家族と過ごした、引っ越す前の家。
夏休みに行ったどっかの海。
多かれ少なかれ、こうした思い出があると思います。
ただ家族が写真を撮らなかった場合は、行った記憶はあるのに写真に残ってない。
そんなこともあり得ます…。
または引っ越しの際に紛失してしまったり、やんごとない理由でもうその写真たちは手に入らないとか…。
色々あると思いますが、折角頭の中には残っている記憶ですから、今の自分のために使わないのはもったいないですね。
特に幼少時代を過ごした場所は、『思い出の場所』としてけっこう鮮烈に記憶に残っていたりします。
しかも大人になってから見るのとは違う鮮度。
子供の目には、ほぼ全てのことが〈新しいモノ〉として映るので、脳みそもビックリして綺麗フィルターを通して覚えるんでしょうね。
大人でいったら、旅行先の景色などがそれです。
初めて訪れた国・街。
食べたことのない食材や、味わったことのない美味さ。
◯◯の映画の舞台になった街で、その映画の世界を更に広げてくれる景色…
などなど。
脳は新鮮で刺激的なモノを見たり聞いたり体感すると、それらを『大事なモノBOX』に仕分けます。
今回はその、大事なモノBOXに仕舞い込まれた『景色・風景』を、抽象画として引き出していきます!
むしろ抽象画に写真はない方がいい
写真があると、どうしても引きずられることが多々あります。
本来もっと鮮やかな色だったのに、写真を真似るあまり、彩度の低い色で画面を埋めがちです。
具象画の場合はいいのです。
いかに忠実に描くかを目的としている場合は、写真をよーく見て、細部にこだわって描くことが大事の場合もあります。
ただこの場合も、写真の真似っこになってしまうと面白くありません。
むしろ絶対に写真には敵いません。
せっかく絵におこす訳ですから、写真だけではわからない、その場にいた人にしかわからない情報を載せましょう!
例えば温度とか音とがそれです。
これは具象でも抽象でも同じです。
写真はその場を詳細にキレイに切り取ることができますが、絵のようにタッチで感情を乗せることはできません。
「太陽が眩しかった記憶があるけど、写真にはそれほど写っていない…」
だったら絵にするときは光をたくさん取り込んで、眩しい思い出ごと描いてしまえば良いのです。
「緑が鮮やかだった」
「風が少し冷たかった」
そんな記憶と共に描きます。
写真がある場合はあくまで『参考程度』に、むしろ写真がないなら引きずられようがないからラッキーですよ♪
思う存分、思い出の景色を頭の中で味わいましょう。
まずは色で記憶の入り口を作る
記憶の中の風景の、一番強烈な色を塗ります。
これは別に前面に塗らなくてもいいんですが、もしその色味が強烈で、それ以外が浮かばない…というなら全面に塗ってしまってもかまいません。
しかしその「色合い」が含まれる面積比がわかるからといって、通常の風景画を描くように色で面分けしてしまっては、面白い画面にはならないかと。
例えば海なら、上半分が空で下半分が海の青になる訳ですが…。
おそらくそのまま塗っても、ただの青いキャンパスです。
白いキャンパスにそのまま塗ったなら、奥行きもあまり感じられないでしょう。
もしどうしても空と海で青い画面にしたい時は、先に下地作りをして、画面に動きや面白みを作ってから青く染めるといいですよ♪
特に海や山のイメージを描くときは、大胆に常識を裏切る必要があります。
ただ海を描くのではなく、そこに至るまでの道中や、砂浜の記憶も一緒に描くのはいかがでしょう?
もしくは海の中から見た景色や、足元に来た波のイメージなど。
思い出の景色をただの風景画とし捉えるのではなく、その日に起きたことのロードムービーを1枚の画面にまとめる感じです。
かといって、左から順に場面を変えていく訳ではありません。
まず強烈な記憶(ここで言ったら海)の色を、画面のどこでもいいので大胆に置いていきます。
筆の動きそのままで塗っても構いません。
抽象画ですから、キレイにはみ出さないように塗る必要はありませんよ〜♪
次に、2番目に強い記憶の色を、海のイメージの隣、もしくは一番遠い場所に塗ります。
3番目も同じように、すぐ近くか離れている箇所に塗ります。

問題は面積比
実は一番強烈な思い出ほど、1〜3の中では一番少ない面積で塗ると良いです。
一番強烈な思い出=一番描きたい箇所。
になりますから、ここを前面に押し出してしまうと、お腹がいっぱいになってしまって、ウンザリしてしまうんです。
焼肉に行ったとき、肉ばっかり食べ続けると飽きませんか?
前菜のサラダ、キムチ、ナムル…などをつまみつつ、ようやくテーブルに来たカルビを焼いて、タレにつけて食べた瞬間のあの感動。
ちょっとの間その肉を噛み噛み味わってから、ご飯3口はかっこみますよね。
むしろ実はメインはご飯で、肉はご褒美だったりします。
途中のわかめスープやサンチュも外せません。
いい意味で他の脇役がいるので、主役の肉が引き立つんです。
(ランチの話ですね。ビールのいる夜は別ですw)
…思わず肉の話になってしまいましたが、つまり、メインディッシュは少なめに…
「もう少し食べたい」程度に収めると良いということです。
タッチには感情が表れる
次なるは心の思い出です。
最初は脳が覚えている記憶の景色を、色という面積で埋めました。
その埋めた色の隙間を、今度は記憶の『感情』で埋めていきましょう。
色で広い面積を塗った時は、もしかしたら大きめのペイントブラシを使ったかもしれません。
今度はタッチを生かせるように、少し細めの筆も使っていきます。

やり方としてはこうです。
一番強烈に記憶に残っている景色の色、その次に覚えている2番目の景色の色。
そこの間をつなぐように、感情の色を乗せていきます。
もし間がなければ、それはそれでかまいません。
2色でも3色でも、景色の色の近くに描いていきましょう。
例えば楽しかった記憶の感情なら、黄色や淡いピンクなどの色を思い浮かべるかもしれません。
ワクワクした思い出なら、水色や黄緑色。
まったりとゆっくり過ごした時間なら、うす紫や藍色。
それぞれその時の自分の感情に近い色を選んでみてください。
そしてその色を「塗る」のではなく、「描いて」みてください。
弾むように歩いたならそのテンポで。
美味しくてモリモリ食べたならそのスピードで。
風が強かったらその風と同じくらい流れるように。
景色を再現するのではなく、気持ちや感動を筆に乗せてみてください。
細かいディテールを描き込みたい…をぐっと堪える
仕上げに近づくにつれ、人や木や建物を描き込みたくなると思います。
しかしそこはぐっと耐えてください。
人物だけ、木だけ描き込んでしまったら、今まで作ってきた思い出の色や感情のタッチが、全て『背景』扱いになってしまいます。
今回の作品の主役は、記憶の中にある景色を色や感情のタッチで甦らせることですから、後から描き込むものに主役の座を奪われてはなりません。
むしろ後半に手を入れるなら、最初に描いた色の明度を調整したりしましょう。
その段階で、更に思い出した色があったら足してみましょう。
ただし小さめに。
どうしても人物を足したい…。
そんな場合は、人物として描くのではなく、人の色として、筆を置いていくぐらいの軽さで加えてみるといいかもしれません。

真似する必要はないので気楽に描こう!
今回ご提案したのは、写真が無くても思い出の景色を描く方法でした。
自分だけの思い出・記憶の場所を描く訳ですから、写真のように完璧に形を捉えていないこともあります。
そもそも脳は、見たものを正確に捉えることよりも、
自分の都合の良いように見て記憶する装置です。
思い出の中の景色と、実際の写真との間に相違があることはもちろん、「あれ? こんなんだっけ?」と、感動の度合いが違うことも多々あります。
歴史の教科書に載せる訳ではないですから、むしろ自分の、自分だけの思い出や感情を描いたっていいんです。
誰に邪魔されることなく、思い切り自分ワールドに浸ってみてください♪
目が悪い方、こんな経験ありませんか?
私は視力がかなり悪いんですが、おかげで眼鏡を外すとデッサンの狂いが良くわかります^^;
また、眼鏡を外して見た景色は、輪郭がハッキリしていなく、色や面積比だけで見えています。
そうすると、全体の細部までみえている時より『目立つ存在』がよく分かるんですね。
よく見えている時には気づかない、存在感のようなものが際立って見えます。
脳の記憶から思い出の景色を引っ張り出す時も同じ感じです。
ハッキリしない輪郭や、ビデオのように流れている場面の一部分を、存在感のあるものから順に描いていきます。
目が悪いと困ることがいっぱいありますので、せめてこれくらい、得になることないとやってられませんね^^;